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猪名川町はなぜ長寿の町なのか
女性、30年以上兵庫県内長寿第1位
5年に一度、厚生労働省は市区町村別の生命表、つまりは平均寿命を発表しています。兵庫県では昭和60年から現在まで猪名川町が女性長寿第1位です。男性も女性も全国平均を下回ったことは一度もありません。このデータから猪名川町は「長寿の町」と言えます。5年、10年ではなく、ここまで長い間、平均寿命が県内トップを維持し続けるには何か要因があるのではないでしょうか。「健康」は町が発行する広報でもよく取り上げられているテーマなので、いながわベースとしては少し違う視点で仮説を交えながら考えてみました。
TOP写真の加工風景はこちら↓
①脚立に座ってもらって、脚をスタッフが持ちます。カメラは三脚で固定。
②次に人物以外をもう一度撮影します。カメラは先ほど固定したままの状態。
編集でやや明るめにしています。
③後は編集で2枚の写真を合わせます。背景写真を下、人物込み写真を上のレイヤーにして
消しゴムツールで脚を持つスタッフを消します。
色彩調整して、ブラシツールで旗みたいなイラストを描いたら完成!
仮説①【大きな病院がない】
一見環境は悪いように感じますが、病気になる前の予防ができているという考え方もできます。実際、健康診断の受診率は県内トップ。1人当たりの医療費は最も低いランクです。健康に対する意識の高さにつながり、結果、健康に過ごせているのではないでしょうか。
仮説②【都市公園の広さ】
広さとしては兵庫県で8位ですが、人口の割合で考えると1位です。姫路市が471.87ha(2017年現在)ですが人口53.5万人です。猪名川町は119.89haですが、人口3.1万人。ウォーキングしたり軽い運動などがしやすい環境があるといえます。最近では、上写真にあるような健康を目的とした器具を設置した公園も町内に3箇所できました。春は桜満開の「い〜なさくら通り」や秋は紅葉が綺麗な「歴史街道」など、歩きたくなるようなロケーションの道も多くあります。
仮説③【図書館の利用率】
65歳以上、延べ41万人に生活習慣や行動に関する600以上の質問項目を10年以上追跡調査し、NHKが開発したAI(人工知能)で分析し、健康要素の中で、他の健康要素と最も多くつながっていたのが、「本や雑誌を読む」という結果になったようです。健康寿命(日常的に継続的な医療・介護に依存せず、自立した生活ができる生存期間)では、山梨県が男性1位・女性3位で日本一といえるのですが、実は図書館の数も全国1位です。猪名川町の図書館は広い駐車場があり、すぐ横にはウォーキングにも最適な総合公園もあります。近くに大型ショッピングセンターもあります。図書館の中は、ゆっくりくつろぎながら本を読めるようになっています。以上のようなことから読書をしやすい環境にあるといえます。図書館に行って本を読んだり、借りてくることは、外出するきっかけになりますし、図書館内で本を探すことで軽い運動にもなります。知的な刺激を受け、脳の活性化にもつながります。ちなみに【科学・生物】のジャンルで貸し出し件数ベスト3は、1位「生涯健康脳」、2位「病気の9割は歩くだけで治る!」、3位「腸内フローラ10の真実」(平成27年4月から平成28年3月の実績)でした。年間の利用率は全国でもトップクラス。総数延べ12万人。70歳以上の利用率は延べ2.4万人で全体の2割を占めています。また、図書館が入る中央公民館(生涯学習センター)は音楽室、視聴覚ホール、工作室、会議室などもあり、趣味を活かした活動などができます。
仮説④【道の駅いながわがある】
近くに新鮮な旬野菜が安く購入できるということは、野菜を食べる機会も多くなるのではないでしょうか。また、町内にはいちご園やしいたけ園など良質な栄養を美味しく摂れる施設もあり、道の駅いながわでも販売しています。道の駅年間売れ筋ランキング1位は「生しいたけ」。漢方の本家・中国では昔からしいたけを不老長寿の妙薬として用いるほどの長寿食といわれています。
仮説⑤【スポーツセンターが充実している】
万善にある猪名川町スポーツセンターは平日の昼間でも高齢者で賑わっています。ジムではウォーキングよりさらに足への負担が少ない自転車をはじめ、足腰を強化するマシンがたくさんあります。インストラクターが常駐しているため高齢者の方も安心です。「いきいき元気体操」や「おはようストレッチ」など毎日様々な教室をやっています。猪名川町は3万人の町でありながらこの規模の運動施設が整備されており、高齢者にとっても運動しやすい環境にあるといえます。
仮説⑥【シニアが活躍できる場がある】
町の名所などが好きな方は、観光ボランティアガイドとして活躍しています。また、シニア世代が長年にわたり蓄積してきた知識、経験、技能を幅広い世代に語りかけることにより、シニア世代の活動・活躍の場を広げ、生きがいづくりを促進させる「わたしたちのまちかど講演会」という事業もあります。文化・芸術など町内41の団体が集まる文化協会が主催する「猪名川町文化月間」の際には、イナホールで作品の展示や音楽のステージなどが行われ、毎年多くの人で賑わっています。自分の好きなこと、活動していることをアウトプッットできる場があるということは生きがいに繋がり、結果長寿に繋がっているのではないでしょうか。
猪名川町の平均寿命は現在、女性87.8歳(県内1位) 男性81.8歳(県内7位) その平均寿命を超えて、しかも毎日元気に過ごすスーパー高齢者の方々を取材させていただきました。
すべておてんとさま、 神様のおかげ
小北さん 89歳
生まれも育ちも猪名川町、北部在住の小北さんは、歩いて5分のご近所から嫁いできました。ライフワークは、朝早く起きて、家事、畑や草刈りなど仕事をすること。今年はもともと田んぼだった広い畑で、玉ねぎ3000株、白菜400株を植えました。普段は近くに住む息子さんなど家族の助けはもちろん、地元柏原や大島地域、近隣市などから自宅を訪ねる、小北さんを助け、応援する方々に支えられています。庭先には、くつろげるテーブルセットがあり、棚田が一望できます。ゆっくりお話を聞かせていただきました。長寿の秘訣は「感謝を忘れず、多くの人と交流すること」。今の自分があるのは、「すべてお天道様(おてんとさま)、神様のおかげ」とおっしゃるように、何事にも「感謝」の気持ちを忘れない小北さん。これからも健康長寿のまち猪名川の象徴として、いつまでも元気で過ごしてほしいと思います。
家にこもっていてはダメ
辻本さん 87歳
千里のマンションに住んでいた頃、ご主人がご病気で倒れられ、心配した息子さんが一緒に住もうと言ってくれたのがきっかけで、21年前白金に移住して来られました。こちらに来られてから、4年後ご主人が他界。『家族がいるといっても、家にこもっていてはダメだ!』と思い、老人クラブのグラウンドゴルフ、フラダンス、カラオケ、みんなで歌おう会、健康体操などの同好会活動に参加。保健センターの「100万歩チャレンジ」にもトライされています。「欲張ってみんなさせてもらっています。(笑)」歯磨きは、朝起きた時、食後、寝る前と1日に4~5回欠かさず行っている。健康福祉まつりでは、毎年「全部自分の歯」ということで表彰されています。色々なことに取り組まれている辻本さん。たくさんの方と接することでストレスを感じることはないのか伺うと、「もともと神経質なので、なるべく気ままに行こうと思い、少々のことは忘れるようにしています」とにっこりとお話して下さいました。
くよくよしない、 なんでも良い方へ考える
川野さん 94歳
長年、豊中で暮らしておられた川野さんは、定年退職後、娘さんご家族から「みんなで一緒に暮らそう」と言われたのをきっかけに、お孫さんを都会よりものびのびとしたところで過ごさせてやりたいとの思いから、長年暮らしてきた豊中市から白金に移住して来られました。移住してすぐに、お孫さんは小学校へ通い始めますが、「おじいちゃんも一緒に行こうよ」というお孫さんの言葉に、はじめはただただお孫さんが可愛いくて毎日一緒に登校していました。7年間続けるうちに、地域を見守るパトロール隊が発足し、川野さんも参加。その後20年間、94歳になられた今でも子どもたちの見守りを続けておられます。 他にも俳句教室や木版画教室、パソコン教室に行き、白金プラチナ倶楽部(老人クラブ)にも参加。今の楽しみは、毎週金曜日に訪ねてきてくれるひ孫さんの夕食を作るのが楽しみと、目を輝かせて語って下さいました。
目標を設定し努力する
楢崎さん 88歳
ご自分の信条にピッタリ合った介護付有料老人ホームレインボーハイツに入居する楢崎さんは、30年前58歳の時に高松市から引っ越して来られました。コーラス、俳句、随筆、卓球、絵手紙など、多くの趣味を持ち、月に数度は梅田の書道教室や神戸のエッセイ教室にも通っておられます。また、エッセイはこれまで作品集として5冊を発刊・発売されています。レインボーハイツの情報誌「山なみ」の編集も一人で手掛け、現在104号までを発行しています。普段から心がけていることは、数日先に何かとても楽しい日を設定し、その日を目標に頑張ることだとのこと。そのためにいつもやることをメモして、予定を立て行動されています。そして、そのメモを消す時がなんとも言えない快感とのこと。朝のラジオ体操は月10回ぐらい、月15~20日は1日5000歩以上のウォーキング。常に前向きに脳内活性化や体力維持を意識して努力を積み重ねておられるのが印象的でした。
【広告】ハッピー・リトル・アイランド ―長寿で豊かなギリシャの島で―(字幕版)
ギリシャの離島、イカリア島。この島の住人は世界のどこよりも長生きで幸せと言われている。 都会から移住した若者たちが島の老人たちから人生を楽しむコツを学んでいく。 ギリシャは2010年頃からの経済危機で3人に1人は貧しく、若者の半分は無職となった。職を失い、希望を失った「ロストジェネレーション」と呼ばれる若者たちの多くはギリシャを離れ、海外に逃れたいと思うようになる。そして一部は僅かな希望を抱き、田舎を目指して移住した。 IT関連の仕事をしていた35歳のトドリスも彼女のアナとギリシャの離島でどこかミステリアスな島、イカリア島に移住した。自給自足的で経済危機とは無縁なイカリア島で彼らは飛び切り元気で長寿な老人たちと出会い、人生を楽しむコツを学んでいくが・・・(C)ANEMON 視聴はこちら
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