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近年カシナガ大量発生 猪名川町の森が危ない
猪名川町のナラ枯れ
真夏の猪名川町。目の前に広がる緑の山の中に、紅葉したかのような木がポツポツあるのを見たことがないだろうか。それはナラ類の木(ドングリのなる木)だけが一斉に枯れる現象、通称「ナラ枯れ」。30年ほど前から日本海側を中心に被害が目立つようになり、3年くらい前から猪名川町においても各地で発生しています。かなり酷い被害状況になっているので、気付いている人も多いと思います。
カシノナガキクイムシ
ナラの木を枯らせているのは体長5ミリ程の小さな昆虫、カシノナガキクイムシ(通称カシナガ)です。この虫が集団でナラの木を攻撃し、木に穴を開けることで、耐えきれなくなった木が真夏に集団で一斉に枯れるのです。
なぜカシナガが大量発生するのか?
それは人間の生活様式が便利になり、山の木を伐らなくなった結果、【放置された木が巨大化】(カシナガは巨大化した木を好む)→【そこにカシナガが集まる】→【木が枯れる】→【そこでカシナガが大繁殖をする】の悪循環が起こってカシナガが大発生して木を枯らせています。
なぜ山の木を伐らなくなったのか?
人間が便利さを求めて化石燃料(ガスやガソリン、電気)を使うようになり、かつて使っていた木(薪や炭)を使わなくなったからです。安価な外材が輸入されるようになり、日本人は日本の木を使わなくなり、日本中で山の木が放置され巨大化しているのです。つまり、ナラ枯れは人間の生活様式の変化がもたらした現象です。山の異変は地球からの警告であり、それを見た人間がそこから何を読み取るのかを問われています。
ナラ枯れが起きると何が困る?
ナラの木が枯れると幹は腐っていき、枯れた翌年から枝先が落ち始めます。枝とはいえ、15m上から落下した枝が人に当たると大怪我の恐れがあります。倒木が発生すれば人命も奪われかねません。通学路上で発生したナラ枯れの木を放置すれば、通学児童の安全も脅かされます。
ナラ枯れを防ぐ方法は?
動きが活発で、しかも大量に存在するカシナガの全てを薬剤で殺すのは不可能です。実際に、薬剤による防除で被害を抑えた例はありません。そんな中で、ナラ枯れを抑えるのに有効な方法が開発されました。それは、カシナガを大量捕獲できるトラップを仕掛ける方法です。このトラップ防除法は、ナラ枯れを食い止められる唯一の方法で、各地で成果を上げています。猪名川町でのトラップ防除法の実施箇所は大島地区と阿古谷地区の2箇所のみです。より広範な範囲でトラップ設置が必要です。トラップ防除法に関して詳しく知りたい方はお問い合わせください。また、一緒に活動する仲間も募集しています。些細なことでも、カシナガバスターズまでご一報ください。
【森林保全団体 カシナガバスターズ】 kashinagabusters@yahoo.co.jp
猪名川町におけるナラ枯れの問題は深刻であり、そんな中、町北部で活動する団体、「わはは大島」さんが対策に協力してくれました。
わはは大島さんの声
「ナラ枯れ」???
猪名川町 北部の緑豊かな山々に囲まれながら、今山で何が起こっているのか? 全く知らずに過ごしていました。
そんな全く知らないものに、今回なぜ取り組もうと思ったかと言うと、造園業をされている方から猪名川町の山が大変な事になっているんだと、それを少しでも食い止めるには、トラップが一番だと言われたからです。そしてこの現状を子どもたちに伝える事、地域の人に伝える事は、とても大切だとも感じ、取り組みをはじめました。
カシナガ対策のトラップ設置
まずは場所探しからです。緑豊かだとはいえ、勝手に人の山に入るわけにはいきません。毎週数字をとるため、なるべく小学校から近く、入りやすい場所を求め、森林組合が管理する山の木に決定しました。
そして トラップをつけるのですが、一本の木に3レーンです。トラップは、1レーン 7000円程します。と言うことは、一本の木に21000円 。これを5本の木につけるとなると、105000円です。かなりの高額です。そこで、兵庫県阪神北県民局が実施している、「ナラ枯れ対策に取り組む方への支援」を、利用させていただきました。書類の準備に少し時間がかかったのですが、わからないところは、直接、県民局へ行き教えていただきました。
トラップはペットボトルでも代用できるとのことなので、1回目は 子どもたちと勉強会を兼ねてエコトラップづくりを実施し、その後山に入り設置しました。
トラップに虫をおびき寄せる為、アルコールを補虫部に入れています。と言うことは、つけていない時よりも、多くの虫が匂いに引き寄せられ木に集まります。
なので、トラップを仕掛けた木は「おとり」となり、その周りの木も虫が侵入する危険性が高くなります。ですから、周りの木を防虫シートで巻くと言う作業は怠ってはいけません。
想像以上の虫の数
4月から5月は、0頭でした。それが 6月に入り、一週間ごとに急激に増え、80→747→ 8420→18276、そして最高 23786頭のカシノナガキクイムシを捕虫しました。
山のあらゆるところで増え続け、栗の木や、どんぐりの木などに入り込み枯らしてしまう、見えていないところで、深刻な事が起きています。
大切な対策、なぜ取り組まない?
猪名川町では、双眼鏡を使い、今どの場所でどれだけの被害が出ているかを、定期的に調べています。ですが、いくら被害の多い山を見つけても対策はとりません。というよりとれません。
県道沿いで枯れて危ないとか、子ども達の通学路で枯れていた場合は、切ってくれるのですが、それ以外は、山の持ち主の責任であるということ。
このナラ枯れに対しての対策は、一般住民が自主的に行うしか無いようです。
大切な対策なのですが、経験や知識がないと取り組めず、アルコール部分を取り替える作業が毎週であり、何ヶ月も続けないといけないことから、取り組む人がいないと言えます。
私たちも、このナラ枯れ対策は大切な事で続けなければいけない事は分かっていますが、次年度も続けて取り組む事はとても難しいと感じています。
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